「JAL再建」に赤ランプ点滅

執筆者:2007年4月号

「新しい日航に生まれ変わるチャンス。社内の意識や風土の変革を促したい」 三月一日、東京・お台場。ホテル日航東京で開かれた共同記者会見で、日本航空の西松遙社長は危機感をにじませた。日航は今春、国際線のサービス強化とコスト削減を狙い、国際航空アライアンス「ワンワールド」に加盟する。その発表会見は世界を代表する航空会社のトップが居並ぶ晴れの舞台だったにもかかわらず、西松社長の表情は険しかった。皮肉なことに、会場となったホテルは、日航が二月に発表した経営再建計画で売却対象になっていた。 総額一兆七千億円の有利子負債を抱え実質赤字が続く危急存亡の日航にとって、この三月はいきなりの正念場となる。再建計画の実現を左右する労使交渉はヤマ場を迎え、月末が近づくにつれて再建計画が始まる四月以降の見通しもついてくる。さらに三月二十五日には八百億円の社債償還日が控えているのだ。 当面の対処策にすぎないが、資金繰りには一応のメドがついた。再建計画でグループ人員の四千三百人削減を発表したことで、命運を握る取引金融機関は「満点とはいえないが及第点」(主力行幹部)を与え、日航が要請していた六百億円の融資に応じる見通しだ。

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