モディ首相率いるインド政府による初めての通年予算となった2015年度連邦予算案は、目先の人気取りや景気浮揚策よりも中長期的な構造改革や産業振興に重きを置いたいわば「プロフェッショナル」仕様の中身だったと言える。産業界からは一定の評価を得ているものの、恩恵が少ない都市住民など中間層からは不満の声も聞こえてくる。そんな中で、15年度予算案には文字通りキラリと光る新しい経済政策が盛り込まれている。このうちの1つが、「Monetizing Gold」つまり、「金の現金化」計画である。

 

「証券」発行で金輸入抑制狙う

 2月末に発表された予算案によるとインド政府は、金購入で資産形成を図りたい個人や企業向けに固定金利がつく「金預託証券」を発行、金の実勢価格でいつでも現金化できる制度を導入する計画だ。また、インド国旗の中心に描かれた車輪模様(アショク・チャクラ)をあしらった公定金貨を発行、さらには金を購入したい宝飾品加工業者などにも有利なローンを提供する、というものだ。「現金化」というよりは、流動性を持った通貨や証券への転換、と言ったほうが正しいだろう。

 これらの政策により、国内の新規金需要のうちかなりの部分を取り込めると期待されているうえ、国内にある金のリサイクルも可能となり、金の購入者のためにわざわざ金を大量に輸入する必要がなくなる。国の経常赤字圧縮にも貢献できる、という目論見だ。

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