ブレア後継に急浮上「労働党の隠し玉」ミリバンド

執筆者:ピーター・ウィルソン2007年5月号

人気を誇る保守党のキャメロン党首に対抗し得るのは、ブラウン財務相ではなく「もう一人のデイビッド」だとの呼び声が高まる。[ロンドン発]トニー・ブレア英首相の後継候補の一人と目されるデイビッド・ミリバンド環境相(四一)は、ある寒い夜、国会を遠く離れたイングランド北部ニューカッスル郊外の選挙区サウスシールズで、支持団体の一つである「ハートン・アンド・ウェストゥ炭鉱福利協会」の会合に出席していた。 その夜、集まったのは約三十名の元炭鉱労働者。父親か祖父のような年齢の参加者を前にミリバンドは、彼らのような筋金入りの支持者によって労働党は支えられてきたのだと熱く語った。だが同時に「昔ながらの支持団体の利益を追求するだけでは政権の座を守ることはできない」として、ゴードン・ブラウン財務相(五六)同様、ブレアの「ニューレイバー(新労働党)」路線の継承者であることを改めて印象づけた。 イングランド南部の富裕層を意識した中道寄りの発言に、全英炭鉱労働組合のイアン・ラベリー新会長は不満の意を漏らす。「ミリバンドは恵まれた家庭で共産主義の薫陶を受けて育ったというのに、いったいどうしたことだ? とても聡明な男だが、彼の言うような政策のせいで労働党を離れた者は少なくない」。

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