米中摩擦がいよいよ過熱するのか。米通商代表部(USTR)は今年二月に「中国の補助金制度の見直し」、四月初旬には「知的財産保護の徹底」と「海外映画や音楽ソフトなどへの輸入障壁の再検討」を求めて、世界貿易機関(WTO)に提訴した。 三月末には米商務省が、中国製の光沢紙について、最大二〇・三五%の「相殺関税」を適用すると仮決定した。カタログや豪華本に用いる光沢紙が米国内で安価に販売できるのは、中国政府が輸出補助金を与えているためだ――と認定したのだ。相殺関税の適用再開は、共産主義国を対象から外したレーガン政権以来、じつに二十三年ぶりの方針転換である。 強硬策の背景にはもちろん、民主党が過半数を占める米議会の突き上げがある。 三月二十八日の財政委員会で、新たな対中関税法案を進めるシューマー上院議員は「大統領が拒否権を行使できないような」法案提出に自信を見せた。同議員は、人民元の切り上げを加速しなければ中国からの輸入に制裁課徴金を課すという「シューマー・グラハム法案」の立案者。次期大統領候補のヒラリー・クリントン上院議員は、夫が大統領時代に反対していた保護貿易を、むしろ支持する姿勢だ。ペロシ下院議長は過去に天安門広場で民主化を訴える活動を試みた反中派である。

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