欧州連合(EU)・米国間の航空路線の開設を原則自由化する「オープンスカイ協定」がまとまった。四月三十日、ワシントンでの首脳会議で調印し、二〇〇八年三月三十日から施行される予定だ。航空会社の競争を促すのが狙いで、世界の航空会社間の提携拡大や再編を加速することになりそうだ。 現在はEU加盟国と米国が個別に協定を結んでいるが、〇二年の「二国間の協定はEUの基本条約に違反する」という欧州司法裁判所の判決に従い、包括協定の交渉を進めてきた。〇五年には当局間で妥結したものの、EU加盟国の反対で調印が見送られた経緯があり、三月のEU運輸理事会での採決が最大のヤマ場となっていた。 直前まで反対したのは英国。自由化で最も影響を受けるのがロンドン・ヒースロー空港と米国の各都市を結ぶ路線とみられているからだ。旧国営アリタリア航空が経営再建中のイタリアも同調し、一時は採決が危ぶまれたが、EUでの孤立を恐れた英国が、発効をヒースロー空港の新ターミナルがオープンする来年三月に先送りすることを条件に、承認に踏み切った。 ヒースロー空港と米国を結ぶ路線は、これまでは英国と米国の二国間協定で、英国航空と英ヴァージン・アトランティック航空、米ユナイテッド航空、米アメリカン航空の四社に限られてきたが、新協定では、フランスやドイツなどの航空会社も参入することができる。

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