核開発問題などで対西側強硬姿勢を貫くイランのアフマディネジャード大統領の追い落としを狙う動きが同国内で始まっているようだ。 首都テヘランの消息筋によれば、反体制派議員や政治家ら約五十人が三月末、国内で秘密会合を開催。国際社会でイランを孤立させ、国内経済の停滞を招いた同大統領を権力の座から追放するための戦略について協議し、大統領に対する“包囲網”の構築が提案されたという。この会合のリーダーは、改革派のハタミ前大統領といわれるが、同氏自身が出席したかどうかは分かっていない。 一方、イランで最も尊敬されているイスラム法学者の一人である大アヤトラ、ユセフ・サアネイ師は、四月半ば、一部マスコミとの会見で、アフマディネジャード大統領の政策を非難した。会見の直前に、同師はハタミ前大統領と秘密会談を行なったと伝えられている。前出の消息筋は「ハタミ派は、保守穏健派とされるラフサンジャニ最高評議会議長らに接近を図っているとの情報がある」と語る。 テヘランの外交筋によれば、三月に起きた英水兵拘束事件をめぐっても、イラン指導部内では大統領の強硬姿勢に反対の意見が優勢を占めた。最高指導者ハメネイ師の擁護がなければ大統領は完全に孤立していたという。

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