対テロ戦争を進める米政府が、東アフリカのケニアに対し千四百万ドル(約十六億八千万円)を支援することを決定した。支援の中にはケニア沿岸警備当局を訓練するための施設建設などが盛り込まれており、国際テロ組織アル・カエダの拠点とされるケニアの隣国ソマリアを睨んで、ケニア軍および治安当局の作戦遂行能力を強化することが狙いと見られる。 新たな支援は四月末、ケニアのミチュキ国務大臣(地方政府・治安担当)がワシントンを訪問した際に正式合意された。これに先立つ四月十八日には米国防総省代表団がケニアを訪問。ブッシュ大統領が二月に新規創設を発表した「在アフリカ米軍」についてケニア軍当局と意見交換するなど、両国は「アフリカの角」地域における対テロ戦争での協力関係を強めている。 米国はケニア政府に対し、貧困対策などの開発援助を増やす見返りに「反テロリズム法」を成立させるよう圧力をかけてきたが、ケニア国内のイスラム教徒らの反対で頓挫していた。 だが、情勢は変わった。米軍の後押しを受けたエチオピア軍が昨年末、ソマリアのイスラム原理主義勢力「イスラム法廷連合」を攻撃した際に、多数のイスラム過激派が西隣のケニアへ逃亡したのだ。

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