業績絶好調の全日本空輸(ANA)が、中国などアジアの航空会社と合弁で格安航空会社を設立することを検討している。 米国をはじめ海外では、サービスをぎりぎりまで切り詰めることで航空運賃を抑えた「ローコストキャリア(LCC)」と呼ばれる格安航空会社が既存の大手航空会社を押しのけ勢力を拡大しており、米デルタ航空はそのあおりを受け、破産法適用の憂き目を見た。 ANAがLCC設立に意欲を見せるのは、欧米を中心に巻き起こる「オープンスカイ(航空自由化)」の波がある。これまで国をまたぐ路線開設には二国間の政府協定が必要だったが、この三月に米国と欧州連合(EU)の間で結ばれた新航空協定では「路線開設は原則自由化され、外資規制も撤廃の方向で議論が進んでいる」(ANA幹部)という。 日本もいずれこの波に巻き込まれるのは必至で、航空各社としても早めに手を打つ必要がある。 アジアでもLCC会社がいくつも台頭してきており、「羽田空港の国際化論議や羽田・成田の滑走路新設・拡張などで増える発着枠をにらんで海外のLCCが日本に参入してくる」(同)との危機感は強い。そこでANAは海外の航空会社と組むことで人件費を安く抑えることに加え、相互乗り入れをしやすくし、本格的に到来する航空ビッグバンを乗り切る構えだ。

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