創業一族の井植家が経営陣から一掃され、大株主の米ゴールドマン・サックス証券などから事業の切り売りを迫られている三洋電機。第一弾として半導体事業がこのほど入札にかけられ、国内外のファンドや半導体メーカーなど約二十社が名乗りを上げた。 半導体の次に切り売りのターゲットにされているのが携帯電話事業とデジタルカメラ事業。なかでもデジカメ事業は「これといった強みや特長もなく、価格下落の波にさらされやすい」(大手証券アナリスト)ため、三洋が持ち続ける意味は小さい。 売却は時間の問題とされるなか、受け皿として意欲を見せるのが船井電機だ。船井は松下電器産業傘下のビクターについても買収を検討したことがある。薄型テレビやAV(音響・映像)分野が目的だったが「プライドの高いビクターと相性が合わず買収を見合わせた」(船井幹部)という。しかし三洋電機の場合「同じ関西を基盤にする」(同)こともあり、船井は買収に意欲的だ。 船井はこのほど仏カルフールや独メトロAGと液晶テレビの納入契約を結び、欧州での販売ネットワークを築いたばかり。首尾よく三洋のデジカメ事業を手にできれば、すでに手を結んでいる米ウォルマートに加え、欧州の二大量販店の販路に製品を流すことで収益基盤の拡大を目指す考えだ。

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