最高益を出す企業がある一方で、いまだに赤字から抜け出せない企業もある。優劣を分けたのは経営者の実力だ。 日本の製造業の工場を回って意外に感じるのは、赤字続きの企業であっても生産現場の人の意欲はあまりそがれていないケースが多いことだ。もちろん受注が減っていれば、生産ラインには活気はないが、コスト削減のため照明を落とした薄暗い工場の中でも「どうすれば在庫を減らせるか」「どうすれば歩留まりを向上できるか」といったテーマに対する取り組みは多くの工場で粘り強く続いている。日本の製造業の現場は、熟練技能者の大量退職時代の到来、若年労働人口の減少など課題も多いが、決して競争力は衰えていない。 日本の製造業はバブル崩壊後の長いトンネルを抜け、新興成長国の需要膨張と円安を追い風に業績は急激に改善している。だが、日本企業の成長性、将来性があまり評価されていないことは、史上最高値を更新する世界の株式市場からひとり取り残された日本の株価をみればわかる。その根底にあるのは、日本企業の経営トップの能力、資質の問題であり、なかでも電機業界ほど「トップ格差」を鮮明に映し出している業界はない。好業績企業の明快な経営方針

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