証券と商品を一体化した、世界にもほとんど例のない取引所構想が走り出した。官邸、官庁、取引所それぞれの思惑を抱えながら――。 株式だけでなく商品先物や様々な金融派生商品(デリバティブ)を一手に扱う「総合取引所」を創設する構想が動き出した。政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)が四月十七日に打ち出したもので、東京をロンドンやニューヨークと並ぶ国際的な競争力のある金融・資本市場にするための“切り札”と位置づけている。縦割りになっている監督官庁の抵抗は激しく、株式会社化している各取引所の思惑も交錯しており、実現への道のりは険しい。だが、東京市場の地盤沈下が進む中で、起死回生のラストチャンスなのも確かだ。 総合取引所構想の詳細はまだ公表されていないが、関係者の話をまとめていくと以下のような像を結ぶ。 まず、持ち株会社「東京取引所」(仮称)を創設する。その下に東京証券取引所(株式市場)、東京金融先物取引所(金融先物)、東京工業品取引所(金属・工業品)、東京穀物商品取引所(農産物)などをぶら下げる。横断的な商品開発チームを作り、例えば原油や金のETF(上場投資信託)などを上場していく。商品と株式を組み合わせたデリバティブなども可能にする。

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