生き残るためには三つのビジネスモデルのどれかを選ぶしかない。海外勢が思い切って動くなか、日本の選択は?「世界の半導体市場は今後十年間、年率五―一〇%で拡大を続けるだろうが、我々の成長率はそれを上回るはずだ」。四月三十日午前、台北市内の会議場。台湾の半導体最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は、創立二十周年の記念式典で聴衆にそう語りかけた。 TSMCは台湾当局がオランダの電機大手フィリップスなどと協力して設立した「国策」メーカーだ。三顧の礼で経営トップに迎えられた張氏は米テキサス・インスツルメンツ(TI)で上級副社長(半導体担当)を務めた中国出身の人物。演算用LSI(大規模集積回路)の生産を代行する業態「ファウンドリー」を半導体産業に定着させ、TSMCを世界のファウンドリー市場でシェア五割を占めるまでに育て上げた。 張氏は冒頭の挨拶で「過去二十年間の世界の半導体市場の成長率は年率一一%だったが、当社の売上高は年率四三%で伸びてきた」と実績を誇示。午後にはTI、フリースケール・セミコンダクター、クアルコムなど顧客である米国の有力半導体会社の最高経営責任者(CEO)クラス十人をゲストに呼び、パネル討論を催した。夜には顧客らをクラシック音楽の演奏会に招き、まるで祝勝会のような一日を締めくくった。

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