全国学力テストはPISA調査の“模擬試験”だった

執筆者:増田ユリヤ2007年6月号

 四月二十四日、「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が実施された。全国一斉の学力テストは一九六四年以来四十三年ぶりのことである。全国の小中学校の九九%にあたる約三万二千七百校の二百三十三万人が参加。試験は、小学六年生と中学三年生の国語、算数(数学)の二教科で、設問は知識(A)と活用(B)に分けて実施された。 このテストは、「学力低下」が指摘される中で、「そもそも日本の子供の学力水準のデータがない」という指摘から実施が決まったものだ。 だが、翌日の新聞に掲載された実施問題を見て、ひとつの疑念が湧いた。「これは紛れもないPISA対策ではないのか」。活用(B)の設問が全般にわたってPISA調査の出題傾向とそっくりだったからである。 PISA調査とは、OECD(経済協力開発機構)が二〇〇〇年から三年に一度実施している国際的な学習到達度調査で、義務教育終了段階の十五歳児の知識や技能を評価するものだ。二〇〇三年には「読解力」「科学的リテラシー」「数学的リテラシー」「問題解決能力」の四分野について調査が行なわれ、日本は三分野で一位グループに入ったが「読解力」で十四位とふるわず、大きなニュースとなった(二〇〇六年の結果は今年末頃明らかになる予定)。

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