スリランカの反政府過激派はいかにして「空軍」をもったか

執筆者:ラムタヌ・マイトゥラ2007年6月号

 カリブ海のバルバドスで四月二十九日、クリケット・ワールドカップ決勝「スリランカ対オーストラリア」が行なわれ、スリランカの旧首都コロンボでは人々が街頭の巨大スクリーンに見入っていた。そのさなか、上空を閃光が切り裂いた。コロンボ近郊の石油・天然ガス貯蔵施設を狙ったタミル人武装組織「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」の軽飛行機による空爆で、今年三月以降三度目の中心都市攻撃だった。その前、三月二十六日のコロンボ国際空港に隣接するスリランカ空軍基地への攻撃では、空軍兵士三人が死亡、十六人が負傷する被害が出ている。 反政府ゲリラが都市空爆能力を持ったという事実は、スリランカ内外に大きな衝撃を与えた。スリランカ政府は表向き、空爆は「脅威ではない」と強気の姿勢を崩さないが、ポーク海峡の対岸、インド南部タミルナド州のチェンナイ(旧マドラス)国際空港では、LTTEのコロンボ空爆が継続する事態に備えて、着陸地を変更する民間機の受け入れ態勢を整えつつある。 スリランカ政府とLTTEは、ノルウェー政府の仲介で二〇〇二年二月に停戦に合意したが、その後、和平プロセスに大きな進展はなく、二〇〇五年ごろから軍事衝突はむしろ深刻化していた。それにしても、LTTE側が「空軍」を組織し、都市空爆に出たことは衝撃をもって受け止められた。

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