“カネになる情報”を扱うだけに、名門だろうが老舗だろうがM&Aの対象に。日本とて対岸の出来事と思ってはいられない。「我々は似たような困難に瀕しています。それはテクノロジーとグローバル化です」 米国新聞協会(NAA)では毎年夏前になると、全米の新聞社幹部が三―四日ほど集まって経営やジャーナリズムのあり方について議論する。今年は五月上旬にニューヨーク市で開催され、ゲストスピーカーとして米自動車最大手ゼネラル・モーターズのリチャード・ワゴナー最高経営責任者(CEO)が登場した。 ワゴナー氏によると、米自動車とメディア・コンテンツ、特に新聞業界は似ているらしい。古い歴史を誇るが、技術は旧来型。ハイテク志向の消費者を逃し、業績は下り坂にある。要するに“斜陽産業”というわけだが、ワゴナーCEOが両者の共通点として触れなかった点がある。 情報コンテンツ産業も自動車と同様、資本の論理に直面しはじめた。つまり、M&A(企業の合併・買収)の脅威や株主の圧力に晒されるという形で、カネ余りのウォール街に魅入られてしまったのである。 三月二十九日朝、米ニューズ・コーポレーションを率いるルパート・マードック氏は、米経済紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)を持つダウ・ジョーンズ社のリチャード・ザニーノCEOと朝食を共にしていた。別れ際にマードック氏はこう切り出した。

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