長期低落「生協」の生き残りへの苦闘

執筆者:小田桐誠2007年6月号

五十九年ぶりの法改正を機に変身をはかる生協。個別配達の伸びなど明るい要素もあるが、流通業界の競争は激しい。果して成算は――。 二千万人を超える日本人が加入している生協(消費生活協同組合)が分水嶺に立っている。事業高(売上高)は全国合計で三兆三千億円(二〇〇五年度末)。イオンやセブン&アイなど「流通の巨人」たちにも匹敵するが、肝心の利益が上がらず、赤字の店舗も多い。この五月八日、生協の事業範囲などを定める生協法が一九四八年の制定以来はじめて抜本改正された。施行は来年四月から。競合するスーパーなみの経営の自由度を手に入れる協同組合は、競争が激化する流通業界で生き残りをかけて変わろうとしている。     * 毎年一月、全国の生協トップはその時々の課題を話し合うため、一堂に会する。検討の場は全国政策討論集会と呼ばれ、今年は一月十七日から二日間にわたり開かれた。「競争環境は厳しさを増し、地域・生協間の格差は広がっているが、IT(情報技術)化の進展や生協法の改正をうまく生かし、組合員の期待に応えていきたい」 日本生活協同組合連合会(日本生協連)の小倉修悟会長は会見でそう強調した。一口に生協といっても、扱う商品や考え方、成り立ちの違いなどから、地域生協、職域生協、大学生協、医療生協、住宅生協など、種類が異なる。それぞれが扱う商品も食品や日用品、共済、医療・介護サービス、住宅の分譲、冠婚葬祭など多岐にわたる。種類の多さは、生活に密着していることの裏返しだ。日本生協連は六百二十六生協の連合体。小倉会長の言葉には、生協が直面するすべての課題がつめこまれていた。

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