地方議員「活性化」のための実戦的処方箋

執筆者:佐々木信夫2007年6月号

よってたかって、年に一本の条例も提案しない。これでは政治家になった甲斐がなかろう。政策を議論してこそ、住民の代表たる地方議員だ。 今年は地方自治にとって重要な節目となる年だ。国から地方への権限移譲をめざす第二次分権改革がスタートし、道州制特区推進法により、北海道を対象に道州制の実験も始まっている。そして、四月の統一地方選では全国の三分の一の自治体で議員の改選が行なわれ、首長の交代があった。 そこで注目したいのは地方議会のあり方である。地域の政策や予算、条例、契約を決める議会が機能しなければ、そのツケはそのまま地域住民に跳ね返ってくる。分権時代の地方自治は自己決定・自己責任が原則であり、そこでのカネの使い方や政策の決定は国のあり方にも直結する。全体で約百三十兆円に及ぶ日本の行政予算は三分の二が地方で使われている。これだけ地方の活動量が大きい国はカナダと日本ぐらいだ。 二〇〇〇年の第一次分権改革で地方議会の権限は飛躍的に拡大した。それまでの自治体は国の下請け機関に近く、仕事の七―八割を国から委任された事務の遂行に費やしてきた。首長を大臣の地方機関とし、国の業務を執行命令する機関委任事務制度が存在したからだ。そこに地方議会が関与できる分野は少なく、業務の大半を占めた機関委任事務には、審議権も条例制定権も予算の減額修正権もなかった。地方自治は制度的にみても首長が主役で、議会は脇役の存在だった。

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