四月、北朝鮮とミャンマーが二十四年ぶりに国交を回復したと伝えられたが、実際に両国関係の改善が進展するのはまだ先のようだ。ミャンマー駐在の西側外交筋によれば、国交回復に関する合意文書には復交の具体的期日は示されておらず、重要課題が解決してから関係を正常化するとされているという。 最大の懸案の一つは、ミャンマー、タイ、ラオスの三国の国境地帯“ゴールデントライアングル”に逃れた、一万人に上るともいわれる脱北者の問題。北朝鮮側はこれら脱北者を捕らえ、平壌に送還するよう求めているが、ミャンマー側は、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏の処遇をめぐり国際社会から非難を浴びているなか、新たな人権問題を抱え込むのは避けたい意向で、北の要求を拒否しているという。 さらに北は、一九八三年のラングーン(現ヤンゴン)爆弾テロ事件の主犯としてミャンマーで死刑判決を受けた北朝鮮の特務関係者の引き渡しを求めているが、ミャンマーは拒否。合意文書に北朝鮮代表として署名した金永日外務次官は旧首都のヤンゴン滞在中、新首都にも招かれず、ミャンマー側首脳との会談も行なわれなかったという。

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