総統選挙を来年に控えた台湾で、最大野党・国民党の副総統候補に地元の食品最大手、統一企業の最高経営責任者(CEO)である林蒼生・同社総裁が急浮上している。六月二十四日の全国代表大会(党大会)で公認候補に選出されるかどうかが、地元政財界の関心の的だ。 国民党は五月初め、馬英九前主席を総統候補に内定。馬氏は自身に次ぐ党内実力者である王金平立法院長(国会議長)に副総統候補を打診してきたが、馬氏とそりが合わない王院長は同月三十一日に断った。その翌日、地元有力紙で最も国民党寄りの聯合報が一面トップで「党中央は林総裁を推薦」と報じた。 国民党は中国から渡ってきた「外省人」の有権者が多い台湾北部の選挙には強いが、台湾生まれの「本省人」が多い南部で弱い。香港生まれで台北育ちの外省人である馬氏も同じ弱点を抱える。南部の高雄県出身で本省人を代表する政治家の王院長を口説き続けたのはこのため。 統一企業は、呉服屋の丁稚から身を立て、「台南幇」と呼ばれる南部の台南県の地方派閥に属する高清愿董事長が一九六七年に創業。林総裁は統一の祖業である小麦粉工場の工場長として当初から経営に参画し、食品コングロマリットに発展する一翼を担ってきた。

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