温暖化のさなかに忍びよる新たな冷戦の跫音

執筆者:小田博利2007年7月号

ロシアのサイバーテロに、中国のバブル経済。米欧では恐露・嫌中の空気が強まりつつある。その中で日本は――。 地球温暖化防止とヘッジファンド監視。いかにもドイツらしい議題を前面に立てた主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)だった。メルケル独首相は独自色を打ち出したというところだが、サミットには欧州にとって憂鬱な参加者がいた。高飛車な姿勢の目立つロシアのプーチン大統領である。文明のルールを逸脱したロシア バルト海に面するエストニア。旧ソ連の一員だった人口百万人余りのこの小国が、五月以降、サイバー攻撃の矢面に立たされている。同国の政府機関や企業、金融機関の情報・通信システムが、世界中の百万台以上のコンピューターから大量のデータを送りつけられ、サーバーがダウンするなどの被害が出ている。第二次大戦の勝利を記念した旧ソ連兵士の銅像を、首都タリンの公園から撤去した直後から、ストーカーのようなサイバーテロが始まった。「発信元がロシア政府の使うネットワークである可能性が高い」。堪忍袋の緒が切れたエストニアの国防相は五月十七日、こう表明した。初期の攻撃元を調査したところ、ロシア政府のインターネット・アドレスが発信元だったと判明したというのだ。ロンドンの寿司バーでの元KGB職員暗殺を思わせる、文明のルールを逸脱するような振る舞いではないか。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。