『黒人初の大リーガー――ジャッキー・ロビンソン自伝』ジャッキー・ロビンソン著/宮川毅訳ベースボール・マガジン社 1997年(初版は74年)刊 黒人として初めての大リーガーとなったジャッキー・ロビンソンがデビューしてから、今年で六十周年。 十年前の五十周年の時には、彼がブルックリン・ドジャースでつけていた背番号42がメジャーリーグ全球団の永久欠番になったが、今年はロビンソンがデビューした四月十五日に多くの選手が背番号42をつけ、「カラー・バリアー」と呼ばれる人種の壁を打ち破った先人に敬意を表した。 野茂英雄がメジャーに挑戦してから十年以上が経ち、いまでは日本人選手の活躍は珍しくなくなったが、日本人がジャッキー・ロビンソンの功績、そして黒人がメジャーリーグに進出した意義を理解しているとは到底言いがたい。 その理解の手助けとなるのが本書だ。アメリカでは一九七二年に出版された本だが、ひとつひとつのエピソードがいま読んでも生々しい。 この本は二部構成をとっていて、第一部では生い立ちから大リーガーになるまでの軌跡、そして引退までのエピソードが綴られる。 興味深いのは、ドジャースがロビンソンを黒人初の大リーガーとして採用したのは「偉大なる実験」だったということだ。

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