中央アジアの北朝鮮と呼ばれる閉鎖国家トルクメニスタンで、昨年十二月に死去した独裁者ニヤゾフ大統領の後継者となったベルドイムハメドフ大統領が、前任者の莫大な隠し資産の捜索に躍起となっている。 ニヤゾフは世界有数の天然ガス資源や伝統の綿花栽培などを自ら統制、海外輸出から得た利益の一部を個人資産に取り込んでいた。総額三十億ドルとも推定される資産の多くは英国やドイツなどの銀行に秘匿したとされる。それを管理、運用していたのは、在アラブ首長国連邦のトルクメニスタン大使館顧問の肩書きで海外で活動する息子のムラト氏だという。 ベルドイムハメドフ大統領は五月以降、ニヤゾフ氏の右腕だったレジェポフ大統領警護隊長、隊長の息子の治安将校ヌルムラト氏、実業家アガエフ氏らを次々と逮捕。三人は、ムラト氏と組んで資産を海外に送る実動部隊だったとみられる。 歯科医出身のベルドイムハメドフ大統領は、顔が似ていることなどから前大統領の私生児との噂が根強く流れているが、遺産の実態に関しては一切知らされていなかったようだ。

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