保険金不払いや保険料取りすぎなどの問題で揺れる損保業界で業界五位の日本興亜損害保険が注目されている。同社は七月末までに三千四百万株(発行済み株式総数の四・一%)を上限とする大量の自社株買いを実施するが、その背景には同社の大株主である米投資ファンド「サウスイースタン・アセット・マネージメント」の変心がある。 これまでの「純投資」から姿勢を一変させ、三月末には「状況により経営陣に助言または重要提案を行なう」と、株式価値の向上策と株主還元の強化を主張。「業績が停滞気味だったため、社内に緊張が走った」(日本興亜損保幹部)という。 業績停滞にしびれを切らしたというのがサウスイースタン側の本音だろうが、こうした動きに米保険大手AIG傘下のAIUが興味を持っているようだ。「AIUなど外資系損保の最近の日本での業績も低迷気味。一気に日本でのシェアを上げるには買収が効果的」と、大手投資銀行幹部はいう。 日本興亜損保はサウスイースタンの動きに対し、「代理店や社員の持ち株会を強化して対抗する」(先の幹部)構えだが、「サウスイースタンは、明確な投資メリットが見出せなければ、出口戦略を急いで海外の保険会社などに転売する可能性が高い」(大手投資銀幹部)とされる。日本興亜損保をめぐって海外勢の攻勢が加速するかもしれない。

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