独裁者・金正日に貢いだ上に、偽ドル札「スーパーノート」を黙認。米国の怒りも当然だ。 国連協会(UNA USA)というユニークな団体が、米ニューヨーク市にある。設立趣旨は「海外事情にあまり関心がない米国民に国連をもっと知ってもらいたい」という米国人にしては殊勝なもので、リーダー役は旧東欧外交で知られるビル・ルアー元大使。国連とウォール街のビジネスマンとの橋渡し役を買って出たり、国連教育科学文化機関(UNESCO)への加盟復帰などを米政府に働きかけた実績がある。要は“善意のロビイスト”だ。 だが、最近になって協会幹部たちの顔色が悪い。「ブッシュ政権の中で国連不信が急速に再燃していて、拠出金拡大など積極的な関わりを求められるような状態ではない」(ある幹部)。歴史的に米国はモンロー主義(孤立)とウィルソン主義(国際協調)の間で揺れてきた。最近は、地球温暖化、イラク問題の泥沼化、中国の脅威などを受け、米国民が国際問題への関心を持ち始めようとしていたはずなのだが……振り子を戻すほどの不信感とは何なのか。「こんなのはルール違反だろう」「いや、断固として反論するが、国連職員の不正行為はない」 六月中旬から始まった国連開発計画(UNDP)の執行理事会では、米国代表とUNDPの事務方が激論を交わしていた。UNDPは開発途上国支援や戦災国の復興を目的として四十年前に設立された国連の下部機関。国連加盟国の拠出金を管理して途上国などに資金や技術を供与する、世界最大の開発支援組織だ。

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