中国政府が二〇二〇年までに世界でほとんど例のない百万ボルト級(Ultra High Voltage=UHV)の超高圧送電線十五本を敷設する計画を進めているという。経済発展に伴い電力需要が急増する中国は、大型発電所を続々と新設。これら大電力を都市部に効率よく運ぶためには、UHV送電線が必要不可欠だからだ。 このプロジェクトに日本企業は熱い視線を注ぐ。UHVの送電線や鉄塔は「中国企業も自前で造れる」(業界関係者)ものの、「遮断器、避雷器、変圧器といった電力の安定供給に欠かせない変電設備は日本の技術を大いに生かせる」(電力関係者)分野だからだ。 自国技術の売り込みを狙うのは東京電力、電力中央研究所、東芝、三菱電機、日本AEパワーシステムズといった日本勢だけではない。独シーメンス、仏アレバ、スイスのABBといった欧州勢の変電設備大手も、世界各国のUHV送電線建設プロジェクトを大きな商機ととらえている。 どの陣営が優位に立つのか。そのカギを握るのが、七月十八―二十一日の北京開催の国際討論会だ。この討論会は欧州の標準化団体「IEC」などが主催するもので、UHV送変電技術の開発状況や実証試験、UHV送電線の今後の建設計画などについて各国が発表する。

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