政策対話のため六月三十日からインドを訪れた甘利明・経済産業相は、インドが計画する大規模総合インフラ整備プロジェクト「デリー・ムンバイ間産業大動脈(DMIC)構想」への全面協力を表明した。日本の東京・大阪に匹敵する二大都市を結ぶ高速貨物鉄道を柱に、沿線の港湾、空港、貨物ターミナルや発電所などを開発・整備。インドの産業・輸出振興を図り、三百万人の雇用を創出するという壮大な事業だ。総投資額はインフラだけで九百億ドル(約十一兆円)以上といわれ、沿線六州が州境を越えて初めて協力する画期的な試みでもある。 DMICは、かつて太平洋ベルト地帯などの広域産業振興に成功した日本が経験とノウハウを注いで全面的にバックアップする。カマル・ナート印商工相は、政府間援助だけでなく「日本企業には五年間で百億ドルの投資を期待している」と述べた。 甘利経産相には、インド子会社のマルチ・ウドヨグ社を同国最大の乗用車メーカーに育て上げたスズキの鈴木修会長ら有力企業二十二社の幹部が同行、インド側財界人らと活発に意見を交換した。インド経済で最大の弱点であるインフラの整備を進めるDMICは両国にとって願ってもない話。日本は、インド企業が日本で発行できるJDR(日本預託証券)を活用し、参加企業に新たな資金調達ツールを提供したい考えだ。

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