中国外務省の人事が固まりつつある。関係筋は国連駐在の王光亜と日本駐在の王毅の両大使が今秋帰国する予定と語った。後任の国連大使には張業遂次官がほぼ固まり、日本大使には崔天凱次官補が回る見通しだ。 帰国する二人は、王光亜が陳毅・元外相(元帥)、王毅が銭家棟・元周恩来首相外事担当秘書という著名な老幹部の女婿で、ともに毛並みの良さが売り物。注目は、どちらが外務省党委員会書記を兼ねる戴秉国・筆頭次官を継ぐかだ。いまのところ光亜が一歩リードし、毅は党中央外事弁公室主任に転出する方向。戴次官は来春の全国人民代表大会(全人代)で外相を飛び越し外交担当の国務委員に“特進”する見込みだ。 一方、四月の李肇星から楊潔チーへの外相交代は、当事者を含む外務省高官も直前まで知らない突然の人事だった。公式には「李が引退年齢に達したための正常な交代」としているが、真相は違う。同筋によると、「胡錦濤・総書記は、露骨な大国外交を推進した江沢民・前総書記の色を一掃したいと考えている」。ただ、軟弱外交を批判し派手なジェスチャーや恫喝を含む高圧的な言辞で鳴らした李を支持する勢力は党上層部にも多く、一方で、党中央対外連絡部や商務省など対外関係の部署から外相ポストを狙う動きも高まっていた。春の全人代でも秋の十七回党大会でもない時期の変則人事は、「後任をめぐる党内の論争や猟官運動を封じるための一種の奇襲策だった」という。

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