「官僚たちの夏」は、民主大勝・安倍続投で最悪の結末に。だが、こと天下りに関する限り、そう簡単には譲らない。財務省の画策は……。 参議院選で安倍自民党は予想通りの大敗を喫した。公務員制度改革への着手以来、官邸とは対立関係にある霞が関にとって、安倍内閣の基盤が揺らいだ今回の選挙結果は諸手を挙げて歓迎かと思いきや、どうもそうではないらしい。安倍内閣の居座りと民主党の大勝が、官僚たちにとって「最悪の結末」をもたらしかねないというのだ。「官邸は九月末の政府系金融機関トップの後任人事をすべて民間人にすると言っているらしい」 選挙戦が始まった七月中旬、霞が関にそんな情報が走った。九月末には日本政策投資銀行と国際協力銀行、国民生活金融公庫の三人の総裁が任期を迎える。こうした政府系金融機関の総裁や副総裁は財務省(旧大蔵省)次官OBの指定席で、任期を迎える小村武・政投銀総裁、篠沢恭助・国際銀総裁、薄井信明・生活公庫総裁の三人も、いずれも財務省次官経験者だ。 安倍内閣は、選挙前の通常国会で国家公務員法改正案を会期延長のすえ成立させ、再就職斡旋の禁止など天下りの規制を強化した。参議院委員会採決を省略して本会議で採決するなど、前例のない強引な手法を使っての成立だった。安倍内閣にとって「天下り」規制強化は看板のひとつでもあり、引くに引けないテーマだ。

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