女性に嫌われるヒラリーの不思議

執筆者:徳岡孝夫2007年9月号

 政治家というのは、私の最も嫌う種類の職業である。選挙になるとペコペコする。到底できないことを、しますと約束する。平気で国を売る。そういう行為を彼らにさせるほど、彼らの競争すなわち選挙には、人を夢中にさせる魔力があるのだろう。幼い頃、親は私に諭して、なってはいけない職業を二つ挙げた。「政治家と弁護士はアカンよ」というのだった。 先日の参院選で「勝ちすぎ」を演出した小沢一郎氏は、支持固めの第一歩に中国へ行って胡錦濤主席に会った。安倍晋三氏が首相になる前のことで、靖国神社への参拝問題が参院選の争点になりそうなときだった。「私は参拝しません」と約束しに行ったのであろうか。 野党首脳の外交だから詳しくは報じられなかったが、内政に外国を引っ張り込むのは、政治家の最も戒むべき行為である。それを敢えてした小沢氏を、新聞は咎める色なく、逆に「小沢さん、小沢さん」と、隣家の気のいいオジサンを呼ぶような気安さで呼んでいる。 日本がすでにそのザマである。来年は私にとって、さらに忌わしい一年である。閏年の常としてオリンピックがあり、アメリカに大統領選挙がある。人類狂気の年である。 前者には大中華帝国の威信がかかっている。中国の政治家は、北京市内の売春婦や精神障害者全員を遠い田舎へ疎開させ、笑顔を作って外国の選手団、記者団を迎えるだろう。競技は中国選手が圧勝する。中国主席は貴賓席から全世界に向かって鷹揚に手を振り、一九三六年ベルリン五輪のアドルフ・ヒトラーそっくりのポーズをとる。

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