ロシアの情報機関、対外情報庁(SVR)の東京支局長を長年務めてきたスミルノフ参事官が近く帰国する模様だ。日露関係筋によれば、後任はプーチン大統領に近いサンクトペテルブルク出身者で、経済のエキスパートとされる。 スミルノフ氏は一九九八年、SVRのアジア部長から在京情報機関トップとなった。二〇〇二年、鈴木宗男衆院議員が公安警察に対し、同氏への尾行・監視を止めるよう圧力を掛けたことで有名になった。起訴休職外務事務官の佐藤優氏も当時、数十回会い、情報交換したと報じられた。そのスミルノフ氏の交代は、ロシアの対日戦略転換を意味する。昨年夏から秋にかけて、SVRのレベジェフ長官、連邦保安局(FSB)のパトルシェフ長官ら情報機関トップが来日したのも、支局長交代の伏線だったようだ。 情報機関主導のプーチン政権は、世界最先端を行く日本の液化天然ガス(LNG)、原子力発電、高速鉄道技術の導入のため、対日経済関係強化の方針を打ち出しつつある。今後、政府系ガス会社ガスプロムや国営石油大手ロスネフチが日本に本格進出し、豊富なオイルマネーで日本企業買収に動く可能性があるとされる。SVRはそれを側面支援する任務が与えられる。

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