旧ソ連時代から有名なロシアの自動小銃「カラシニコフ(AK47)」の“偽物”が世界中に氾濫しているとして、プーチン政権が事態打開に本腰を入れる方針を打ち出した。ロシアではマイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ」の海賊版がモスクワの路上で定価の十分の一程度で売られるなど、知的財産権が全く保護されていないと批判を受けているだけに、「自国の武器ブランドの保護には熱心」との皮肉も漏れる。 世界で一年間に生産される「カラシニコフ」は約百万丁だが、ロシアで生産される純正品は約十万丁にすぎない。冷戦時代にソ連から生産認可と技術移転を受けたブルガリア、ポーランド、中国などの製品が世界市場を席捲している。ロシア産純正品は平均四百ドル。欧米の銃に比べれば格安だが、偽ブランドはさらに安く、中国製は平均八十ドル、ポーランド製は平均百二十ドルが相場。 ロシア側は、偽ブランドが氾濫するせいで年間三億ドル以上の損害を蒙っていると試算する。だが、あまり大騒ぎすれば、純正品もイスラム原理主義勢力や世界のテロ組織に横流しされている実態が露呈してしまう。そこで、ロシアにとっても巨大市場である中国や、反露感情が強いポーランドからの偽ブランド流出には目をつぶり、ブルガリアのアーセナル社を標的にして補償を求める方針。同社は、武器の最終使用者証明が偽造であることを承知の上でアンゴラの武装ゲリラに武器を売り渡すなど、無責任な振る舞いが過去に指摘されている。

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