時価総額逆転 もう一つのXデー

執筆者:2007年10月号

 八月二十九日付の英フィナンシャル・タイムズ紙は「香港上場の中国企業株を含む中国の株式市場の時価総額が日本よりも大きくなった」と報じた。金融情報配信会社ブルームバーグのデータによれば、八月末日時点で、日本の時価総額は米ドル建てで四兆七千四百八十三億ドルだった。同じ日に、中国本土は三兆八百九十四億ドル、香港は二兆二千七百五十七億ドルで、合計すると五兆三千六百五十一億ドルであり、日本よりも大きくなっている。 時価総額は、株式会社の現在の価値だけでなく、会社が現在から将来にわたって生み出す利益、つまり将来性を加味して現在時点で評価した金額であると解釈できる。中国の株式市場の時価総額が日本よりも大きくなるということは、一時的な人気だけでなく、中国の株式会社の方が日本の株式会社よりも将来性が高いと、株式市場で評価されていることを意味する訳だ。 しかし、香港には英銀HSBCなど外国の大企業も上場している。中国本土の時価総額に香港の時価総額を足し合わせるよりも、香港に上場している企業のうち、中国企業の大手百十社の時価総額を足し合わせたほうが、中国の株式市場の大きさを測るのに適切だと思われる。 その金額は四兆二千五百四十五億ドルと日本の約九割にまで迫り、しかも二〇〇七年初から八月末までの期間に、約二倍に膨れ上がっている。同じ期間に日本の株式市場は時価総額が約三%小さくなっているので、スピードの差は圧倒的だ。

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