選手には競技力の向上を求め、チームワークを求めるのに、都もJOCも国もバラバラ、票を獲得する競争戦略もない。 東京都が進める二〇一六年夏季五輪招致が盛り上がらない。東京の都市開発の起爆剤として招致を発案した石原慎太郎知事が四月の都知事選で三選。その後、メーンスタジアムの位置を臨海部の晴海地区に決定するなど基礎は固まりつつあるが、なかなか現実性を帯びてこない。夏季五輪は欧州―米大陸―アジアと地域順に開催されており、〇八年に北京で行なわれることを考えれば、一六年招致の実現性はそもそも小さいが、それに加え、パートナーであるべき都と日本オリンピック委員会(JOC)が一枚岩になりきれず、国の協力態勢も消極的。前途多難な情勢だ。外れた「国立」新設の思惑 昨年八月、東京都と福岡市が立候補して一六年五輪の招致都市を争った国内都市選定レース。開催概要計画では福岡の評判が高かった。だが、選ばれたのは東京。約四千億円の積立金を用意できる財政力、世界での知名度など都市としての魅力で、東京は福岡に競り勝った。 国内招致合戦はJOCが国際オリンピック委員会(IOC)による開催都市決定スケジュールに準じて設置したシステムだが、JOCの思いは「世界で勝てること」。計画など作り直せばいい話で、パートナーは初めから東京しかなかった。

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