中国政府の兵器開発部門や中国軍の軍事装備部門の重要ポストに、宇宙技術専門家グループが相次いで就任、宇宙兵器開発に向けた新たな動きとして注目されている。 中国軍の動きを追っている米情報機関に近い筋によれば、中国国務院(政府)の一部門である国防科学技術工業委員会の主任に、八月末、中国航天科技集団公司(CASC)総経理だった張慶偉氏が任命された。 同委員会は、中国の航空宇宙計画や兵器生産など軍需産業に関する政策決定や監督に当たる機関。張氏は今年四十六歳の宇宙技術専門家で、同委の主任としてはこれまでで最も若いという。米情報機関筋が注目するのは、張氏が宇宙専門家たちのリーダー格であること。中国軍の装備部門を管理する総装備部にも張氏グループの人間が副部長二人を始め四人おり、張氏を含めたこの五人は「宇宙ギャング五人組」の異名をとる。 北京の軍事筋は「五人組の抜擢は共産党と中国軍最高指導部の指示によるもので、中国が今後、宇宙兵器開発に本格的に乗り出すことを示している」と指摘する。 張氏らは中国が今年一月に行なった対衛星兵器実験にも直接関与したといわれる。気象観測衛星を地上から発射した弾道ミサイルで攻撃、破壊したもので、アメリカなどから強い非難を浴びた。

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