イラン南西部のブシェール原発で働いていたロシア人専門家全員が本国に引き揚げたとの未確認情報が流れている。 これは、イラン・フゼスタン州で地下活動を行なっているアラブ系住民が運営する通信社から伝えられたものとして、イスラエルの情報機関筋が流しているもの。 それによると、同原発の建設に携わっていたロシアの核技術者、原子力学者、原発の設計技師ら全員が九月二十八日に現場を離れ、その後二―三日間のうちに空路ロシアに帰国したという。同通信社からはロシア人帰国の理由に関する情報は届いていないとしている。 ウィーンの国際原子力機関(IAEA)当局筋は、イラン側からの非公式情報をもとに、使用済み核燃料のブシェール原発からロシアへの引き渡し問題で双方に深刻な対立が生じたためと推測する。ロシアはこれまでにも、イラン側の建設費支払いが滞っていることなどを理由に、同原発建設遅延の可能性を示唆したことがある。 一方、モスクワの消息筋は、イスラエルもしくは米国による対イラン先制攻撃が迫っているとロシアが判断し、専門家らを帰国させた可能性があるという。激しい情報戦争の様子が垣間見える。

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