「精緻なMBAカリキュラム」“自家製”の勧め

執筆者:梅田望夫2007年11月号

 クライアント企業の企画部門で働く若い友人A(三十歳)から、米国ビジネススクール進学の推薦状を書いてほしいと頼まれた。日本の国立大学(経済学部)を卒業してあるメーカーに入社して七年間、本人の言葉を借りれば「爪に火を灯すようにして」奥さんと二人で二千万円貯金したのだという。「そのお金を全部投資してアメリカのビジネススクールに行って、その後のキャリアを切り拓きたい」 Aは私に言った。三十歳で二千万円の貯金かあ、二十代から計画性があってたいしたものだなと感心しつつ、私は推薦状の件を喜んで引き受けた。 Aは米国トップクラスのビジネススクールを狙っているわけだが、興味が湧いたので少し調べたところ、学費を含めかかるコストが本当に高いのに驚いた。会社派遣ではなく自費で行こうと思えば、たしかに二千万円の貯金が必要なのである。 たとえばスタンフォード大学の場合、キャンパス内の安い妻帯者用アパートに住んでも、学費、住居費、保険などすべて含めて一年間(正確には夏休みを除く九カ月)で約八万五千ドル。二年間で十七万ドルプラス生活費がかかる計算になる。 ちょうどときを同じくして、別のクライアント企業のシリコンバレー駐在者B(三十六歳)が、カリフォルニア大学バークレイ校(UCB)の夜間週末MBA(経営学修士)コース(三年間)に進むべく勉強中なのだと言う。「平日の夜に三時間ずつ二回」または「土曜日終日」のいずれかを選んで通学し、加えて莫大な量の宿題が出るのだそうだ。Bの場合は既にこちらに住んでいるので追加コストは純粋に学費だけだが、それでも三年間で約八万六千ドルだ。

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