ロンドンを買い漁るロシア人

執筆者:関亜矢子2007年11月号

[ロンドン発]三年連続で世界一物価の高い都市にランクされた東京に代わって、昨年と今年はモスクワが首位に立った(米マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング社の調査)。そんなロシアの金持ちの目にロンドンの物価は「安く」映るようだ。すさまじい勢いで「お買い物」をしている。 まず、高級住宅が飛ぶように売れている。知人がロンドン中心部のアパート(約百八平米)を売りに出したところ、わずか二時間で売れた。その額、実に三百万ポンド(約七億三千万円)。買ったのは石油関係の仕事をするロシア人で、アメリカの大学を卒業した二十二歳の息子がロンドンに来る際に利用できるアパートを探していたらしい。上の階も売りに出ていることを知るや、上下あわせて使えるよう即決で購入したという。 英不動産会社ナイト・フランク住宅リサーチ部のベイリー氏によると、咋年六月までの一年間で、四百万―六百万ポンド(約九億七千万―十四億六千万円)する高額物件の九%はロシア人が購入。それ以上の超高額物件になると、なんと五件に一件はロシア人が購入した。二〇〇〇年頃までは、購入者は主にロシアの新興財閥だったが、最近ではその下の層――財閥と言えないまでも相当の成金――が増えたという。

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