投資ファンドがファッション産業を狙っている。英投資ファンドのペルミラは、九月にイタリアの高級ブランド「ヴァレンティノ」を総額二十六億ユーロ(約四千二百億円)を投じて傘下に収めた。ヴァレンティノはデザイナーのヴァレンティノ・ガラバーニ氏(七五)が創業したブランドで、赤を基調に女性らしさを強調したデザインで知られる。同氏はブランドを手放した直後、来年一月の引退を表明。ヴァレンティノはペルミラが起用した新デザイナーの下で、従来の高級衣料だけでなく、皮革製品や宝飾品へと商品群を増やすとみられる。 またペルミラは七月にもドイツの男性向け衣料ブランド「ヒューゴ・ボス」を手に入れており、二つのブランドの相乗効果を狙っているとされる。 米JHパートナーズもイタリアの高級インナーウエア・ブランド「ラ・ペルラ」株の過半数を取得することで合意している。豹柄のプリントで知られるイタリアの「ロベルト・カヴァッリ」も、投資ファンドが出資するという観測が絶えない。 投資ファンドによる買収が増えている背景には、市場の拡大がある。十兆円とも言われるブランド品の市場は、中国、インド、中東など新興市場国へと広がっている。またブランド企業は規模が小さく、買収のリスクが低いことでも着目された。

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