とめどなき「政界液状化」の行方

執筆者:2007年12月号

党首会談による自民と民主の大連立は不発に終わり、「ねじれ国会」の睨み合いは変わらぬまま。喜劇じみた騒ぎの次なる展開は……。 福田康夫首相と民主党の小沢一郎代表による党首会談と、それに続く小沢氏の突然の辞意表明をめぐる民主党内の大混乱が政局に及ぼした影響は決して小さくない。特に、党首会談で合意寸前にまで達していた自民、民主両党の大連立は当面は遠のいてしまった。ただ、政界の今後を展望するならば、野党が参院で過半数を占めるという衆参「ねじれ」現象の解消を目指す動きはこれからもどんどん強まらざるをえない。短期的には下火になったものの、長期的には大連立を含めた政界再編への流れは不可避と言っていいだろう。 一方、首相は最近、あらゆる場で年内解散の可能性をちらつかせているが、実際には脅しにすぎないか、あるいは首相独特のブラックジョークの一つと見ていいだろう。ハプニングによる突然の解散というケースを除けば、年内の衆議院解散・総選挙はないと考えた方がいい。 十一月四日の小沢氏の辞意表明から一夜明けて、早くも辞意撤回が確実視され始めた五日夜、首相は国会議事堂に近い、東京・平河町の中国料理店「赤坂四川飯店」で報道各社の政治部長と懇談した。首相は終始上機嫌だったが、二時間弱に及ぶ酒宴が終わるころ、「年内にまだまだサプライズがあるかもしれませんよ、ふふふ」といつもの含み笑いを残して会場を去って行った。出席者たちは、サプライズが年末に衆議院を解散して総選挙を実施するという意味なのかどうか、その真意を測りかねた。だが、現実問題としては、首相が年内の衆院解散に積極的に打って出る可能性は小さい。

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