現在、世界の海に就航している外洋船舶は約十万隻。これらが「バラスト水」を重しにして航海することで、毎年百億トンから百二十億トンの水が世界中を移動すると推計されている。 バラスト水は、積荷のない船舶が代わりに重しとして積み込む海水だ。問題は、それに紛れ込んで、魚介類から細菌まで様様な生物も世界中を“航海”すること。バラスト水は積荷を積む時に排水されるため、紛れ込んでいた生物が本来生息しない水域で排出され、世界各国で生態系を破壊している。 国際海事機関(IMO)は二〇〇四年にバラスト水の規制・管理のための国際条約を採択したが、発効していなかった。しかし、この七月にIMOがスウェーデンのアルファ・ラバル社が開発した光触媒で生物を処理する装置を承認したことで規制の発効が現実味を帯びてきた。 条約が発効すると早ければ〇九年から段階的に規制対象が拡大し、一七年以降はバラスト水を使うすべての船舶が規制の対象になる。この場合、現在就航中の船舶の改造需要が約二兆円、今後、新規建造される約三千隻の船舶を対象に毎年一千億円の特需が見込まれている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。