みずほグループ伝統の「人事抗争」発生中

執筆者:村山敦2007年12月号

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は来年度にもみずほ信託銀行を一〇〇%子会社化することを企図している。 現在、持株会社であるみずほFGの傘下には、個人・中小企業を担当するみずほ銀行(BK)と大企業を担当するみずほコーポレート銀行(CB)、そしてみずほ信託があるが、FGの一〇〇%子会社でないのは信託のみ。単独で上場している信託を一〇〇%子会社化し、上場企業である持株会社の下に配置する――これは、みずほFGにとって二〇〇〇年のグループ創設以来の念願だ。 みずほFGは、三菱UFJフィナンシャル・グループを他山の石として、信託を一〇〇%子会社化するだけでなく経営方針も完全にコントロールしたい考え。三菱UFJでは一〇〇%子会社の信託銀行が持株会社と「犬猿の仲」になっているためだ。そこでがぜん重要となるのが、みずほ信託社長の役割だ。 みずほ信託は来年四月まで業界団体である信託協会の会長行を務める。会長は一年間の任期を終えれば本業のトップからも退くのが通例で、みずほ信託の池田輝彦社長(六〇)もその予定だ。みずほ信託はみずほFGの前身の一つである旧富士銀行系(他は旧第一勧業銀行と旧日本興業銀行)で、池田社長も旧富士銀出身。FGとしては信託のコントロールに万全を期すため次期社長も同行出身者を送り込みたいと考えているのだが、その人選をめぐりグループ内で人事抗争が発生しつつある。

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