スズキ、地場財閥グループのタタ・モーターズ、韓国の現代自動車の三大メーカーが支配してきたインドの自動車市場に異変が起きている。今年四―九月の出荷台数シェアで米ゼネラル・モーターズ(GM)が前年同期の八位から五位に浮上、これまで影も形もなかった仏ルノーが九位で初登場したのだ。 カギを握ったのはインド市場の中核をなす低価格小型車。GMは四月に発売したリッターカーの「シボレー・スパーク」でこの分野に参入した。新車発表会には、はるばるインド入りしたR・ワゴナー会長が登場し、市場開拓への並々ならぬ意欲を見せつけた。GMの半期の販売台数は「スパーク効果」で前年同期の一・六倍に膨らんだ。 ルノーは主に東欧で成功した低価格の世界戦略車「ロガン」で未開拓市場に切り込んだ。インドの人々になじみのないルノーブランドを売り込むため、発売前からテレビCMを大量に流し続けた。四―九月の販売実績は一万二千台で、地場老舗メーカーのヒンドスタンモーターズをいきなり上回った。 これに押されたのがタタや現代。目立った新車がなかった両社は、いずれも一・五ポイント以上シェアを落とした。そもそも低価格車を持たないホンダやトヨタ自動車も苦しい展開。GMインド法人のある幹部は「インドでは我々の正しい品ぞろえが結果を生んだ」と語り、世界販売で優位に立つトヨタに一矢報いたことに満足げだ。

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