サブプライムローン問題をめぐる金融混乱が長期化の様相をみせるなか、金融政策で手詰り感が強まっている日銀に、一見禁じ手にも映る「利下げ」観測が急浮上してきた。 量的緩和とゼロ金利政策から脱却した日銀に課せられた次の大命題は、政策金利の正常化。明確な定義はないが、機動的な金利の上げ下げができる水準の「中立金利」(一説に一・五―二%とも)へ、できる限り早く近づけたい(現在は〇・五%)。 その前提となるのは、「日本も世界も経済は拡大が続く」(福井俊彦総裁)とのシナリオだが、サブプライム問題で金融市場の混乱が拡大したことで、前提は崩れた。 政策金利を段階的に下げた米国に歩調を合わせるように、欧州と日本も利上げの見送りを続け金融緩和に努めているが、資金流動性の低下がなお懸念される状況だ。 そのため、永田町や霞が関から、「市場にインパクトを与えるために、今こそ日銀は利下げに踏み切るべき」(自民党関係者)との議論も飛び交い始め、米金融当局にも、日銀の追随利下げを望む声があるとされる。 だが、当然ながら日銀では「今、利下げしたら金融政策は十年は後退する」(幹部)との反発が強いほか、「金融政策で景気を下支えできる効果は限られる」(エコノミスト)との見方もある。

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