だからどうした日本の順位

執筆者:2008年1月号

 それがどうしたというんだ、と思う。新聞に載ったOECD(経済協力開発機構)が発表した世界各国の十五歳の学力調査である。数学の応用力が六位から十位、科学が二位から六位、読解力が十四位から十五位と軒並み下がったと、各紙はこぞって一面トップで報じ、さらには他の面で解説、詳報と大騒ぎである。 どうしてこうも日本人は順位や格付けが好きなんだろう。あらゆるものを調査して順位付けをして、それが新聞や雑誌に載るとかなり読まれるのだ。このごろはテレビで「星座ランキング」などというものまである。ああ、今日は自分の星座は最下位だ、と知って、あるいはトップだからといって、生活ぶりが変わったりするのだろうか。 どうやらわれわれはかなり自虐的な国柄らしい。こんなにも悪い、こんなに下がった、このままでは……と不安にかられて実は悦に入っている。悲観することで商売が成り立っている新聞がここぞとばかり大きく取り上げる。すると新聞記事を取り上げることでニュースを報道した気分になっているテレビが同じように大変だ、と騒ぐ。 OECDとは何かと調べてみた。欧州を中心にして三十カ国が加盟し、経済や貿易などについて意見交換したり、調査したりする国際機関で、本部はパリ、職員(専門家)は千人弱ほどで日本人も約五十人いるという。ネットで調べてみると頻繁にいろいろな調査をしたりデータを公表したりしている。

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