十一月初旬に降って湧いた自民党と民主党の大連立構想。福田康夫首相(自民党総裁)と民主党の小沢一郎代表が党首会談を行なった時、政界は騒然となったが、民主党側の反対で成立しなかった。その後、小沢氏の辞任騒動という余震はあったが、今は「あの騒ぎは何だったのか」と思うほど、自民、民主両党の対立型の永田町に逆戻りしている。だが、あれから一カ月以上経過し年の瀬を迎えても、公明党だけは、その後遺症から立ち直れていない。 十一月二日夜、民主党本部で開かれた民主党役員会。この席で、小沢氏が大連立を提案し、出席者全員から猛反対されたことは周知の事実だ。しかし、あまり知られていない事だが、この席で公明党にとっての死活問題が話題に上っていた。 鳩山由紀夫幹事長が「公明党はどうするのですか」と聞いたのに対し、小沢氏が事もなげに「公明党? 切る」と言ってのけたのだ。出席者は皆、自公連立に民主党が加わる形になると想像していただけに、出席者の一人は「大連立も衝撃だったが、『公明切り』は、それ以上に驚いた。逆に言うと、この時、小沢氏が本気だと悟った」と振り返る。役員会後、小沢氏の「公明切り」発言を報道陣には話さないと申し合わせたことからも、民主党の動揺がうかがえる。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。