軍政による事実上の報道管制や検閲が常態化し「報道の自由、表現の自由」がないミャンマーで、数少ない国外からの情報入手手段として国民が活用し、民主化運動組織の重要な情報源となっていたのが、ノルウェーを拠点とする「ビルマ民主化の声」や中東カタールの「アルジャジーラ」などの衛星放送。それを受信するためのアンテナディスクの所持認可料金が一月二日、突然値上げされた。 認可料金は、これまでの年額六千チャット(約五百円)から百万チャット(約八万三千円)へと一気に百七十倍。百万チャットは国民の平均年収の三倍にあたる高額で、大半のアンテナ所有者は支払いが不可能になるのは明らかだ。 ミャンマーでは、ヤンゴンなど主要都市を中心に約六万個の衛星放送受信アンテナが個人所有で取り付けられている(二〇〇五年の統計)。軍政による今回の料金値上げで「アンテナの大半は違法所持になり、早晩、撤去されるのは明白。ますます情報鎖国化が進む」と、民主化支援団体は深い憂慮を示している。 アンテナが撤去されると、一般市民は国営テレビMRTVと数少ない民放の番組しか視聴することができなくなる。国営テレビは軍政によって完全にコントロールされたニュースしか流さず、民放も全て軍政への配慮から軍政に不利な時事問題や国際情勢は一切伝えず、歌番組や娯楽用のドラマしか放送していない。

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