NHK会長人事のお粗末

執筆者:2008年2月号

 年末から年始にかけ、久しぶりにテレビでも見ようと思ったが、くだらない芸能人がただじゃれているだけの、それもずっと前に制作した製造年月日をごまかしたおせち料理のようなものばかりだった。こういうときは、NHK、それもBS放送か何かをつけっぱなしにしておくに限る。こちらはNHKの受信料を払わない、と大見得を切るほど偉くないし、民放にくらべれば、ずっとましだと思っている。だからこそ、NHK会長人事のバカさ加減にはただただ呆れるしかない。 何でも経営委員会というところが会長を決めることになっているらしい。どんな人が経営委員なのか、と調べてみたら、十二人全員が見たことも聞いたこともない人たちだった。有名だからいい、無名だから悪いなどというつもりはないが、およそジャーナリズムだとか放送だとかに精通しているようには思えない面々で、何を根拠に人選が行なわれたのか不思議でならない。 経営委員会の委員長は古森重隆という富士フイルムホールディングスの社長だという。なぜこの人が委員長かといえば、お友だちを集めて内閣を作ったあの安倍晋三首相(もちろん当時)のお友だちだからだ。その委員長が長崎の同郷のお友だちの福地茂雄アサヒビール相談役を会長に引っ張ってきた。これはと打診した人にずいぶん断られた挙句で気の毒ではあったが、友だちから友だちへつながっていく「笑っていいとも」のような話である。

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