金融庁は一月十五日から三菱UFJフィナンシャル・グループへの「ターゲット検査」に着手する。検査対象は、グループ中核の三菱東京UFJ銀行が年内の完了を目指す基幹コンピューターシステムの統合作業(DAY2)の管理態勢だ。 旧東京三菱銀行と旧UFJ銀行(三和銀行と東海銀行が合併)のシステムをとりあえず接続する第一段階(DAY1)は二年前に終了した。とはいえ、これは一つ屋根の下に同居する異質なシステムの一部が繋がったにすぎなかった。両行が統合した店舗では、業績評価につながる新規取引は旧東京三菱のカウンターへ誘導され、取引内容の変更手続きなど手間隙のかかる業務は処理の速い旧UFJのカウンターに回されるのが常態化している。顧客にとっても、どちらの銀行に口座があったかで受けられるサービスが異なるのは不便極まりない。 旧東京三菱のシステムを母体に旧UFJのシステムを取り込むDAY2が完了すれば商品やサービスを一本化でき、顧客の混乱を避けられる――。だが、どうやら思惑通りには運びそうにない。ネックになっているのはDAY2の大前提。巨大銀行の主導権を握る旧東京三菱側がメンツにこだわり自らの「遅れたシステム」に固執していることだ。

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