面白いデータがある。一九八二年から二〇〇二年までの合計特殊出生率や女性有業率の動向をもとに、内閣府が全都道府県の「産みやすさ、働きやすさ」を比較したものだ。「産みにくく、働きにくい」グループには、東京や大阪など都市部の都道府県が多かった。 しかし最近、様相はまったく変わってきている。〇七年上半期の出生増加率(対前年比)上位県をみると、トップ五県のうち四県(福岡、茨城、東京、広島)は先の調査では「産みにくく、働きにくい」グループだった。かつて少子化に苦しんでいた自治体の中に、最近では子どもが大幅に増えているところがいくつもあるのだ。 これまで行なってきた自治体ヒアリングの感触では、担当者が知恵と情熱を傾けていると感じられた自治体では数年後に出生回復しているケースが多い。 その代表的な自治体が福岡県・市だ。他の自治体と同様、財政制約が厳しい中で、子育てしやすい環境を作るために知恵を絞っている。 筆者は、昨年秋に福岡県で行なわれた子育て支援に積極的に取り組む企業・事業所の登録制度の千社突破記念の講演会で話をさせていただいた。同県が全国に先駆けて「子育て応援宣言企業・事業所」の登録をスタートさせたのは四年ほど前。経営トップ自ら具体的な取り組み内容を宣言し、職場の雰囲気改善を促すのが特徴だ。

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