北朝鮮の「本性露見」で風向きは変わった

執筆者:マイケル・グリーン2008年2月号

[北京発]アメリカと韓国の主流メディアは何カ月もの間、北朝鮮との外交について楽観的な希望的観測ばかりを流し、日本は孤立感を味わってきた。だが、北朝鮮が本性を露にするにつれ、政治の風向きは確実に変わりつつある。 昨年二月十三日、北朝鮮が非核化プロセスに着手することに合意した時には、たしかに明るいニュースのように見えた。だが、直後の展開からすぐに、米韓首脳部は危険な兆候に気づくべきだった。マカオの銀行バンコ・デルタ・アジアにあった北朝鮮資金の凍結解除に始まり、テロ支援国家リストからはずすことを示唆し、非核化の定義を曖昧にするなど、アメリカ側は次々と譲歩をした。にもかかわらず、北朝鮮がやったことといえば、すべての核関連施設と核開発計画を完全に申告し無能力化するという約束を反故にし、わずかに寧辺の核施設を稼働停止しただけだ。 その時点で既に、北朝鮮の狙いは、核実験実施後に高まった国際的な圧力を散らしながらワシントンと国交正常化プロセスを開始し、核保有国としての地位を確保して、ブッシュ政権の終わりまで時間を稼ごうということなのは明らかだった。寧辺の核施設は既に六個から九個の核弾頭を作るのに十分なプルトニウムを生産済みで、しかも、この二年間は故障のためほとんど機能していなかった。そんな施設を「無能力化」するなど、アメリカから譲歩を得ることに比べたら、小さな代償だった。

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